メンタルヘルス

会社を脅かす社員トラブルは予防できる!!

メンタルヘルス対策の必要性

平成27年6月25日に、厚生労働省から発表された「平成26年度の過労死等の労災補償状況」によると、精神障害の労災請求件数1,456件、支給決定件数497件と、ともに過去最多となりました。

厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について、平成14年から、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを年1回、取りまとめています。

「過労死等」とは、過労死等防止対策推進法第2条において、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」と定義されています。

精神障害に係る労災請求・決定件数の推移(厚生労働省「平成26年度の過労死等の労災補償状況」から)

◎請求件数は 1,456 件で、前年度比47 件の増となり、過去最多。
◎支給決定件数は 497 件(うち未遂を含む自殺99件)で、前年度比61 件の増となり、過去最多。

平成23年12月26日に発せられた通達「心理的負荷による精神障害の認定基準」により、従来の労災認定基準を改め、認定審査の迅速化や効率化を図る労災認定の在り方に、変わりました。

①分かりやすい心理的負荷評価表を定めた。
 ⇒評価方法は、2段階から1段階へ
 ⇒極度の長時間労働を月160時間程度の時間外労働と明示
 ⇒心理的負荷「中」に、月100時間程度の時間外労働と明示

②いじめやセクシャルハラスメントのように出来事が繰り返されるものについては、その開始時点からのすべての行為を対象として心理的負荷を評価することにした。
 ⇒セクハラやパワハラが長時間継続する場合には、6か月を超えて評価。

③これまで全ての事案について必要とした精神科医の合議による判定を、判断が難しい事案のみに限定した。
 ⇒原則、主治医の評価と労働基準監督署長の判断が、矛盾なく合致している場合は、主治医の評価のみで労災認定が可能となった。

不調者への対応

  1. メンタル不調社員の早期発見
     ⇒管理職者が、部下の状態をよく把握し、コミュニケーションを常に、図る。
     ⇒周りの同僚にも、状況を確認する。
  2. 休職制度を点検し、実情に合った内容に修正する。
     ⇒欠勤から休職に至る手続きを明確にする。(休職は、権利ではなく、会社の命令で行う。)
  3. 復職可能の判断ついては、万全を期す。
     ⇒メンタル不調社員の主治医面談は、必ず行う。主治医、産業医(産業医がいる場合)又は会社の指定した医師等の意見を必ず聴取すること。
     ⇒医師の意見を聞かずに、決定をした場合は、必ず会社側には、厳しい判断が下されます。

予防対策

  1. メンタル不調社員問題に、対応した就業規則の内容に修正する。
     ⇒休職規定の整備(欠勤から休職の発令を行う場合の対応。)
     ⇒特に、復職と休職を繰り返すメンタル不調社員についての対応。
     ⇒入社時に、既に、メンタル不調である社員についての対応。
     ⇒判断をする場合には、必ず医師との関与を持つこと。
     ⇒休職から復職に至るには、十分な手続きと慎重な判断を要します。
  2. メンタル不調社員を、早期発見した場合であっても、本人が専門医の受診を拒む場合の対応を事前に検討する。
     ⇒周囲の社員や管理職者が、メンタル不調を発見した場合であっても、メンタル不調社員本人が、専門医の受診を拒むことも、意外と多いもです。
  3. 突然、メンタル不調との診断書を会社に提示して、休職を要求する社員も、増えています。また、「新型うつ」(仕事中になると不調を訴え、プライベートの時は、全く病気ではなくなり、旅行等に出かけてしまう場合もあります。)なメンタル不調社員への対応も検討しておく必要があります。
     ⇒休職期間と言っても、有給休暇の取得では、ありませんので、休職期間中の最低限の報告や連絡をしてもらう必要があります。

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